彼が初めてレコード業界の表舞台に登場したのは1984年に発表された The Temptations (通称 テンプス )のアルバム
"Truly For You"で、その中からのファースト・シングルとしてカットされた彼の作詞・作曲による "Treat Her Like A Lady" はビルボード誌のR&Bチャートの2位にランク・インされる程の大ヒットとなりました。



 但し、彼のテンプスへの参加自体は1983年で、テンプスとの初レコーディングは、クレジットはされていませんが、その年に発表されたアルバム"Back To Basics"に収録され ている"Stop The World Right Here"です。



 尚、話が前後しますが、テンプスに参加する以前の彼は"I've Been Lonely For So Long"で知られる Frederick Knight のバックバンドのドラムス、 The Drifters の何でも屋、 The Blue Notes Teddy Pendergrass の後釜など、長い下積み生活をしておりました。



 そして"Treat Her Like A Lady"のヒット後、彼は Dennis Edwards に代わるテンプスのリード・ヴォーカルとしての地位を確立
 続いて1985年には"Touch Me"、翌1986年には"To Be Continued"のアルバムを発表し、中でも"To Be Continued"からのシングル"Lady Soul"は特に日本で絶大な支持を受けました。



 しかし、その後彼は突然テンプスを脱退。彼の後釜には Dennis Edwards が返り咲き、アリ・オリーはマイナーレーベルから発表された Former Ladies Of Supremes の12インチシングルに参加すると云う消息を最後に、忽然とショービズ界から姿を消してしまいました。



 そんな彼が不死鳥の如くに甦ったのは、奇しくもテンプスの12年ぶり、3回目の来日を直前に控えた1988年9月。Dennis Edwards の再度の脱退により、彼は急遽リード・シンガーとしてテンプスに復帰、その年の10月には初の来日公演を果たし、日本各地で素晴らしい復帰コンサートを展開してくれました。



 その後彼は、翌年1989年1992年の計3回テンプスと共に来日。
 アルバムの方も1989年の"Special"、1991年の"Milestone"、1994年の"Emperors of Soul"(アンソロジー・アルバム)、1995年の"For Lovers Only"に参加し、テンプスのメンバーとしての活動を続けていました。



 しかし、これと平行して彼の謎の単独活動が始まります。



 その手始めが、1993年に発表された David T.Walker DJames Gadson 他のモータウンのスタジオミュージシャン達による"Spirit Traveler"。この中 で彼は自作の曲"I Love You"を含む4曲でリード・ボーカルとして参加しています。
 その後1994年の Martin Luther King Jr. 牧師へのトリヴュートアルバム"March On""Martin" と云う曲で1曲、そして1996年は Paul Jackson Jr. "NeverAlone-Duets""People Get Ready"のヴォーカルとして1曲と、 The Drifters のオリジナル・メンバーである Bill Pinkney (アリがテンプスに参加する前に The Drifters に在籍していたのは、この人の紹介という経緯がある)が "Bill Pinkney & The Original Drifters" 名義で出したアルバム"Peace In The Valley""True Love"と云う曲のリード・シンガーとしてゲスト参加、と、次々と1人で他流試合でのレコーディングを重ねていきます。



 そして1996年暮、テンプスを辞めた Dennis Edwards が作って来日した"テンプテーション'ズ ( Legend Of The Temptations )"のメンバーの中に彼の名がクレジットされていた事から、彼が正式にテンプスを脱退していた事が判明。
 この時の彼の来日は、結局「咽の調子が悪くて声が出なくなった」という理由でキャンセルになり、その病状が心配されていたのですが、そんな矢先に飛び込んで来たのが1997年の単独来日公演決定、と云う何よりも嬉しい情報でした。



 この時の公演は、バックバンドに対しては多少不満が残ったものの、その真摯なステージに対する姿と圧倒的なエンターテナーとしての資質は各地の観客を魅了し、更に翌年1998年には、大阪と福岡の Blue Note にて、アリ・オリー本人念願の自分のバンドによる再来日単独公演が実現する程の大反響を呼びました。



 そして2001年夏、Al McKay Allstars のゲストヴォーカルとして 来日 し、その秋には遂に待望のソロアルバム "Right Here All Along" がイギリス Expansion が発表されました。
 現在の彼は、ソロ活動の他に、ミュージカル、元テンプスの Richard Street と共に結成したグループ "Emperors Of Soul" による主にヨーロッパに於ける公演など、幅広く精力的な活躍を続けています。






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